2022年12月に突然発表された「防衛増税」
そもそも防衛費が現在のGDP1%と決まったのはどう言った理由なのか?そして、なぜ今増やしたいと考えているのか?
卒論のテーマが「防衛費がGDP1%についての考察及び、新しい算出方法の提案」だった私が皆様にもわかりやすい様に解説していきたいと思います!!
太平洋戦争時の軍事費は国家予算の○○%だった
大日本帝国時代から通算すると、最も日本史史上最も国家予算に対し軍事費の割合が高かったのは太平洋戦争終了間近の1944年で、なんと85.3%も占めていました。現在は国家予算比では約2.5%程度。現在それを約5%にするのさえ、その財源はどこから持ってくるんだ!と騒がれていることを加味すると当時は一体どうやって国家運営をしていたのか?と言う疑問も生まれます。
防衛費はGNP1%と定まるまで0円だったの?
日本は敗戦後、GHQの指導の元、軍事面も厳しいご指摘が入りました。1945年9月2日に陸軍、海軍は解散しました。しかし、翌年1月には海軍は機雷処理要員として復活しました。
こちらは勿論、軍事目的でなく、島国日本の周りに、日米両国が太平洋中にばら撒いた機雷処理をしなくては、海上輸送を安全にできないことから、日本も責任を取って行うこととなりました。
なので敗戦の翌年1946年度予算から現在の防衛費に当たる金額は計上されていました。
実は戦後もかなり防衛費は計上していた現実
戦後の日本は軍事力を持たないはずなのに、なぜ軍事費はなくならなかったの?
戦後の大まかな世界情勢を見ていきましょう。
1946年 冷戦
1950年 朝鮮戦争、警察予備隊発足
1954年 防衛庁、自衛隊創隊
1955年 ベトナム戦争
1962年 キューバ危機
日本周辺、特にアメリカ、ソ連の対立が激化していること、お隣の朝鮮半島で戦争が起こったことで、アメリカ軍の拠点化、軍事物品供給先としての需要が高まり、日本も軍備化することとなりました。
当時はどのようにして防衛予算を決めていたのか?
憲法9条で軍隊を持たないと謳いながらも、上記のように軍隊を持たざるを得ない状況が続いており、実質的には毎年国家予算として組み込まれていた。
では、当時はどのようにして算出していたのだろうか。
自衛隊制服組の間で予算要求などに使われた伝統的なものに「所用防衛力」構想というものがある。これは、日本防衛をまず考える時、周辺諸国からの脅威の最大を見積もり、これに対抗できる防衛力を日本と同盟国の合計で持てるよう、防衛力を建設、整備していくというものであった。(引用:1981,152頁)
「脅威の最大を見積る」というのは、会社のプロジェクトや個人の旅行計画でも、
最悪の事態を想定した場合、○万円の金額がかかるが、予算としては△万円としよう!
通常の予算の考え方である、というより、基本的に防衛力は最悪を想定した上で、予算を組んで欲しいものである。逆に今は、何を根拠にGNP1%と言っているのだろうか。
なぜ1976年から防衛費抑制の機運がでてきたのか?
まず、下記の年表を見ていただきたい。
1953年 朝鮮戦争休戦
1956年 日ソ共同宣言
1972年 沖縄返還、日中国交正常化
1975年 ベトナム戦争終結
完全に冷戦が終わったわけではありませんが、日本周辺地域での戦争が終結し、ソ連や中国とも国交を回復し、直近での武力衝突が見込まれなくなり
来年度防衛予算どないしたらいいやろか
としていた時に当時の野党が
憲法9条が自衛隊があること事態違憲だ!!
与党はどうやって平和時の防衛予算を組むことことを考えている中、野党はそもそも自衛隊も防衛予算もいらんねん!と全く会話にならないような状態でした。
なぜGNP比としたのか?
当然、国を守る軍隊として自衛隊を廃止することができないものの、野党の合意を得るために低く見える数字を考案する必要があった。
しかし、例えば、1兆円までとした際に、インフレなどを考慮すると、いつかその基準を上回る改定をする必要が出てくる可能性が非常に高い。逆に現在1兆円で足りるところをインフレを考慮して上限100兆円とするのも批判がある。
そこで、毎年金額が上がり、インフレと連動する指標としてGNP基準というのが案として浮上した。
70年代当時は、日本は高度経済成長期真っ只中で、経済成長は今後長らくされるものであると予測されていた。そのため、仮に成長率が5%だったとすると、
01年1兆円の1%、100億円が防衛費。翌年02年は1兆円500億円の1%、105億円が防衛費の上限になるのだ。
これが考案された約20年後には日本は30年近く経済成長をしない時代を来るとは誰も思っていなかった事態なのである。
なぜ1%と定まったのか?
これは1976年当時の、自衛隊を派遣実績のない、平和な状態での費用が当時のGNPの約0.8-0.9%であったことから、
野党はそもそも防衛費を設けること事態反対してて、話が進まないから、少なく見える平和時の防衛費はGNP1%以内ってことにしとこ!
上記のように
・GNP比1%以内としていれば少なく見える、抑えているように見える
・当時は0.8-0.9%以内であったから
この2点が主な理由でした。
現在の防衛費の内訳
まず、自衛隊員に焦点を当てて費用を見ると、2016年の予算では、人件費、糧食費など人に関するものだけで約44%を占めています。
さらに施設の維持費、燃料の調達、医療費、修理修繕費などを合わせると8割以上を占めています。
自衛隊は現状、呼吸するだけで防衛費の約8割を使っていることになります。
GDP比1%では足りない現状
先ほど説明した通り、GNP1%(現在はGDP)の防衛予算では、自衛隊は呼吸するだけでその予算の8割を消費してしまっている状況にあるのです。
現在の自衛隊は、災害派遣を行い、防衛分野では、サイバー空間、宇宙空間など領域も広くなり、1976年とは比べ物にならないくらい、北朝鮮、中国の軍事活動が活発化、軍事技術も向上し、ロシア・ウクライナが現状戦争をおこなっている。それでありながら、76年時に予想したような日本は経済成長をしておらず、30年間ほぼ防衛予算が横ばいな状態で、今までと同じ予算でこれらに対応することは不可能と言っても過言ではありません!
まとめ
しかし、現状何を基準に防衛費を上げるのか?どんなプロセスが必要になるのか?そんな議論をしていては、戦争が始まるリスクが非常に高い現状では間に合いません。そうなると、応急措置的にGNP比2%とすることは賛成です。
しかし、日本は経済成長が見込めない現状で、GDP比○%という指標を使うことは、世界経済は右肩上がりで、物価も上昇し続けている中で、日本の防衛費は良くて現状維持、最悪年々下がることになり、疑問が正直あります。
なぜならば、日本の近隣諸国の軍事費は年々上がっており、日本よりもはるかに高い(中国は十倍)年間予算を組んでいるからです。現代風にいうと、課金している相手の方が強いのです。
現在は平和時ではなく、明らかに有事として対応するべき時であるとわたしは思います。攻撃を受けてから、予算を100倍に増やしたとしても、もう遅いのです。
次回は、二倍になった防衛費の使い方と集め方についてお話しできればと思います(このシリーズが好評であれば)
それでは又又六!!
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