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アイドルコール50年史〜親衛隊・コール・MIXの歴史①〜

JーPOP

日本のアイドルへのコール文化はいつから根付いたのかを調査しました。もしかしたら間違ってる箇所も多々あるかもしれませんが、いままでここまで動画を交えながら、体型的にまとめたものもないので、ここは一つ、日本のアイドル文化研究の更なる高みに行くための研究資料の一つとして、紹介していきたいと思います。

↓参考資料

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ファンと親衛隊の違い

ファンの存在は、アイドル誕生とともに現れたのは当然ですが、あの独特のコールやMIXと言われるものはいつから誕生したのでしょうか。

親衛隊の日本語としての意味は、国家の要人を守るなどの仕事を指します。このようにアイドルを守ることが役目の組織です。

現在もそうですが、昔から狂信的なファンがいることで、執拗にアイドルを追っかけ回したり、プライベート撮影するなどの被害に悩まされていました。

ファンがアイドル悲しませてどうするんだ!

アイドルが気持ちよく、芸能活動をしてもらうようサポートするのが我々ファンの役目ではないのか?

そんな迷惑なファンからアイドルを守ることを使命として立ち上がったファンたちが、親衛隊です。

ファンクラブは事務所が運営していましたが、親衛隊は基本的に異なる存在でしたが、事務所としても狂気的なファンから守ってくれる親衛隊は歓迎される存在でした。

私設応援団から親衛隊へ

1972年の西城秀樹から、親衛隊は誕生したと言われています。初期のコールで有名なのは「激しい恋」ではないでしょうか。単純に歌詞の間に「ひでき!」と合いの手を入れていますね。親衛隊もはじめは、「狂気的なファンからアイドルを守る」という使命は持ちつつも、初期は私設応援団的な要素が強かったです。

西城 秀樹 ♪激しい恋♪ 1974年(アタック!真理ちゃん)より…

「ファンがアイドルに応援でプレゼントする」を最初にやったのが、キャンディーズでないかと言われています。ピンク・レディとキャンディーズといえば、誰もが認める70年代女性アイドル2大巨頭ですが、実はキャンディーズはオリコンで1位を取ったことがありませんでした。それに対し、ピンクレディはまさに、老若男女、特に子供からの人気が高かったのです。それに対し、キャンディーズは大学生など、若い男性が主なファン層でした。

サウスポー ピンク・レディー
女性の掛け声も多いことから分かるように、ピンクレディは性別問わず幅広い年代に応援されていました。

そこでキャンディーズの親衛隊であるキャンディーズ連合会(通称キャン連)が、

ラスト1年の年にキャンディーズに良い思いをさせて卒業してもらいたい…!

と、大学生など若い世代の男性で精力的な応援活動やレコード購入を組織的に行うようになりました。その結果、ラストシングル『微笑み返し』で初のオリコン1位を獲得することができました。動画では、現在はみられなくなった、応援方式の1つであったテープ投げの様子も見られます。

このキャン連の活動様式が、今後の親衛隊並びに、現在のアイドルに対する応援姿勢の原型になっているのではないでしょうか。

キャンディーズ – 11.微笑がえし/at Shiba-Yubinchokin-Hall 11

親衛隊の組織化

キャンディーズが解散し、変化が生まれるのが、1970年代後半から、榊原郁恵や石野真子が人気絶頂期であった頃です。彼女らに対する熱は凄まじく、暴走するファンが大量に生まれることになりました。また親衛隊も会社管理の存在でないので、親衛隊が複数存在しており、親衛隊同士の揉め事も多発するようになりました。

草創期特に親衛隊が凄かった石野隊の応援風景。コールが徐々に形になってきてますね。

石野真子 – 狼なんか怖くない (1978)

この状況を打破したいと考えた各親衛隊団長たちが集まって話し合った結果、『関東親衛隊連合』という組織が誕生しました。今後親衛隊を名乗るためには、この組織から許可を得なければ存在を認められないようになりました。ここで改めて、アイドルの応援と護衛を目的とする理念を掲げました。初代隊長は、榊原郁恵の親衛隊長でした。

榊原郁恵コンサート1

その後、最盛期である80年代、松田聖子の親衛隊であるS・E・C(SEIKO-ENGAGING-CIRCLE)、中森明菜の親衛隊であるA・P・S(AKINA-PROMOTION-STAFF)など50隊以上、1800人がこの連合に加盟していたと言われています。この頃は、聖子隊が大多数を占めており、絶対的権力を握っていたため、比較的安定した組織になりつつありました。全国展開も行われ、組織の拡大化が進みました。この頃から、生放送のテレビ番組でも親衛隊はなくてはならない存在になってきました。

一番コール向けソングと言われている松田聖子の天国のキッス(応援テロップ付き)

松田聖子 天国のキッスSECコールテロップ有り(2010年作品)

80年代ごろから、事務所と親衛隊の癒着も生まれてきました。例えば、新人アイドルを売り出したい事務所が、親衛隊に声かけをし、親衛隊を「レンタル」することもありました。テレビ画面からは

デビューまもないのにこの人気!!

と注目を集めることができるため、積極的に使われ始めました。(ギャラありで)実際にレンタルしたと公表されたのは、堀ちえみさんのデビューです。彼女自身はそれについて知らなかったようですが、人気者になれたので宣伝効果は抜群であったといえます。(テロップ付き)

堀 ちえみ 潮風の少女

親衛隊は爽やかな体育会系イメージだった?

アイドルファンのイメージが、現在のような「根暗なオタク」であったり、「ダサい」というイメージでなく、親衛隊に象徴される「硬派」「青春」といった比較的健康的なイメージでした。そのため、親衛隊であることは、

紳士的にアイドルを応援してますから

という高潔なイメージがありました。しかし、このイメージが徐々に、現在のアイドルファンのイメージに近い、「ダサい」「キモい」にイメージが変化していくことによって、親衛隊も徐々に隊員数の現象に歯止めがかかりませんでした。また、85年に当時最大勢力であった聖子隊が、松田聖子の結婚によって解散し、「関東親衛隊連合」の求心力が次第に弱まります。

おニャン子クラブで組織から個の時代へ

そんな中でおニャン子クラブという、アイドル予備軍が登場しました。今までは、一人や少数のアイドルに対して応援すればよかったものが、大人數になると個人個人で応援したい子だけを応援したいスタイルが芽生え始めました。

また、体育会系で上下関係の厳しい連合を嫌う人も多く、幹部が決めたコールではなく、自分達で考えた応援スタイルでやる、独立した私設応援隊が乱立するようになりました。まさに現在のアイドル応援方式の原型と言える存在でした。

これにより、おニャン子クラブは短命に終わったものの、この後のアイドル応援スタイルに大きな影響を与えたと言えるでしょう。この流れで一気に親衛隊に新規介入する人が激減し、脱退者も後を断ちませんでした。

更に追い討ちをかけるように、90年代の小室ブームやバンドブームにより、親衛隊は自然消滅する形となりました。

4K セーラー服を脱がさないで おニャン子クラブ ONYANKO 全国縦断ファイナルコンサート

親衛隊と比べると声がバラバラで、メンバーの名前も各々呼んでいますね。

親衛隊の応援方法

親衛隊に入る方法

ライブ会場などで、親衛隊が勧誘活動をしており、会費5千〜8千円ほどで親衛隊に入ることができたそうです。

コール練習

親衛隊幹部が応援コールを取りまとめ、紙でコールカードを配り、月に2回明治公園・日比谷公園・代々木公園等で行われました。この練習終わりなどに喫茶「白鳥」に集まっていたことはかなり有名ですよね!

ファッション

初期は暴走族などが親衛隊を取り仕切っていたこともあり、特攻服でした。次第に、ハッピにはちまきスタイルが主流となりました。

ペンライトの誕生は警棒?

親衛隊の役目の一つが、アイドルの警護でした。そのため、赤ライトの警棒を持って統制していました。それまでアイドルの応援方式といえば、メガホンが主流でしたが、ライブ会場が暗くなると赤ライトが目立ち、次第に警棒をメガホンがわりに持つ人が増え、それがペンライトになったと言われています。

詳しくは、こちらの親衛隊へのインタビュー動画を参考ください。

親衛隊は滅べど、不死鳥のように舞い戻ってきたアイドル応援イズム

アイドルファンがネカティブなイメージを持たれるようになったからと言って、廃れるほどオタクは甘くありません。90年代末期には、SPEEDやモーニング娘。などの新時代のアイドルが活躍するようになったことがきっかけで、親衛隊OBたちが、アイドルライブを仕切るような姿を見せるようになりました。しかし、親衛隊とは全く別組織になります。だからと言って、全く応援方式が変わったことはなく、その文化もしっかり踏襲していることがわかるのではないでしょうか。

次回は親衛隊亡き後の、コール文化ミックス文化やオタ芸がどのように発展してきたのかを探究していきたいと思います!それでは又又六!!

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