後編では、K-POPのデジタルマーケティングを紐解きながら、どのように戦略を立てていけば、日本も世界市場でその恩恵を受けることができるようになるのかのロードマップを紹介していきたいと思います。
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2009年AKB48の握手券販売や総選挙がマーケティング的に優れている、秋元康すごいと言われていたあの時、韓国から東方神起や少女時代が日本でブームになっていました。
2013年日韓関係の悪化で、一度日本国内でのK-POPは廃れたものの、2017年また流行の波が来た。その時には、世界のブームとして、以前よりもより大きな姿でK-POPは日本に再上陸しました。
CDの売り上げに戦略を用いた日本と、デジタルコンテンツに活路を見出した韓国。なぜ日本は2009年からの韓国アイドルから危機感を感じなかったのか。
ファンダムとインターネット
韓国では、「能動的にファンになったアーティストを応援する」ファンダムという存在が非常に有力な広報活動を行なっています。
アジア通貨危機(97年)からの立ち直りで、インターネットが急速に復旧したことで、ネットでのファンクラブや活動が早い時期から盛んでした。また、MP3でのダウンロード販売を手がけたことが、韓国国内だけでなく、中国などの海外に市場があることを発見できた。国内の不況、CD市場の縮小の中で、K-POPとインターネットとの出会いは大きな転換点となりました。
デジタル対応
アジア通貨危機から、IT強国を掲げていた韓国は、デジタル対応が非常に早かった。アメリカが2011年にレコードの売上をデジタルマーケットの売上が初めて抜いて話題になったが、韓国ではずっと前の2003年にその現象が起きていました。世界初のMP3機器も1999年には発売されており、デジタル及びその周辺機器の準備が整っていました。
これのインターネットの利用により、既存の販売ルートを持たずして海外でも売れるようになりました。
一方日本は特典付きCDを販売することで、現在ですらCDの売上枚数を気にしています。。。
YouTubeとファンダム
MP3の普及により、販売経路の販売ルートの壁は取り払われていたが、K-POPの「観る音楽」の面が十分に発揮されていませんでした。
2006年にYouTubeが話題になるといち早くその波に乗りました。
この波にうまく乗れた理由は2つあります。
制作会社の意向に縛られない
1点目は、テレビなどのマスメディアなしで、会社独自の番組をつくれること。これまでなかった、アイドルがスターになるまでの「過程」にスポットを当てて、多くの事務所が番組を作った。
素人でも加工して動画を投稿できる
2点目は、ファンの素人でも動画をアップ出来ること。ファンが、自分達が時間をかけて制作した動画をいじるすることを歓迎したのです。これにより、10本作成した動画が、100本~1000本以上の新たな付加価値をつけた動画としてファン達の中でシェアされることがより、能動的なファンダムの形成に役立ちました。
また、ファンダム達の間で、各言語の字幕対応なども積極的に行われ、ターゲットにしていない国までも広くK-POPの存在を知らしめることができました。
ハイクオリティな楽曲はどのように生まれているのか?
2000年後半ごろから、「北ヨーロッパの作曲による音楽、アメリカの振付師によるダンス構成、韓国のプロデュース」のSMエンターテイメントの協業システムが出来上がりました。
この第一弾として売り出したのが、少女時代でした。
世界中の作曲家がソウルに集まって共同で音楽を作る「ソングキャンプ」を作りました。この創作集団の構想は90年代に北ヨーロッパで始まったものを韓国が導入したものです。主に北ヨーロッパの作曲家・プロデューサーと韓国の作曲家・プロデューサーが複数人でタッグを組んでいます。12月24日現在で、Apple Musicの韓国ランキングで上位のアーティストを調べてみると、BTS含め多くのアーティストが複数人かつ多国籍で製作していました。Dynamiteの作曲者は僕知らなかったので、その次のBLACKPINKというグループの作曲にあのデヴィット・ゲッタの名前が入っていました!あの嵐も
ブルーノマーズとコラボしちゃいました。イェイ!
これはさぞかし、BLACKPINKもコラボを全面に出してるでと思いながら、HPをみたら
このアルバムには、JENNIEが作詞・作曲、JISOOが作詞に参加したタイトル曲「Lovesick Girls」をはじめ〜
参照:https://ygex.jp/blackpink/news/detail.php?id=1086388
JENNIEさんというデヴィット・ゲッタを凌ぐ方もコラボしているのかと調べたら、このグループのメンバーの子でした。グループのメンバ>>>>>>デヴィット・ゲッタなんですかね。コラボなんて当たり前の世界になってしまっているのでしょうか。。。
デヴィット・ゲッタが制作に参加した曲
J-POPがK-POPっぽいのを”作る”ためのロードマップ
以上の点を踏まえれば、”K-POPぽいものは作れる”=”J-POP旋風を世界で起こすことも不可能ではない”のではないかと考えています。そのために、日本はどのようなことをすればいいのかを、音楽業界全くの素人の私が机上の空論を述べたいと思います。
音楽番組をYouTubeで公式で公開
多くの事務所でMVやサブスクなどデジタル対応を行っていますが、あともう一歩進んでいただいて、音楽番組がそのパフォーマンスを公式でアップしていただきたい。韓国では、歌謡曲も90年代も音楽番組が公式でアップしてるんですよ!Mステがこれに取り組んでいただくのが一番データも持ってますし、ありがたいですが、逆に新しい音楽番組はこれを売りにして差別化を測ることもできるので、是非取り組んでいただきたい!
見逃し配信のTVerとかじゃなく、YouTubeでないとだめなんです!ターゲットは世界なので、ハマるきっかけを作っていただきたい。
Mステも差別化で始まった番組
余談ですけど、Mステの前の大きな音楽番組であったザ・ベスト・テンや夜のヒットパレードがほぼ同時期の90年位で番組が終了しました。なぜ視聴者が離れたかと言うと、家族団欒でテレビを見る=全世代に向けて放送していたことが起因してました。現在の紅白みたいな形です。演歌ありバンドあり、アイドルありのようないつまでもオールマイティを目指してしまったために、核家族化が進む中で全世代型が受けなくなったことが原因でした。Mステは、若者のみをターゲットにしていたことで、初めこそ毛嫌いされていた時期もありましたが、30年以上続く長寿番組となることができました。
まさに今がまた転換点であり、テレビからスマホなど個人で試聴する時代になりました。「自分の見たいアーティストだけを見る」そんな時代の対応が必要になってくると思います。音楽関係者並びに番組制作者の方がもし読んでいらっしゃったら、是非取り組んでいただきたいです。過去の動画もお願いします。
ミュージックキャンプを製作し、世界基準の楽曲を作る
J-POPが古いとかダサいとかという訳ではありません。僕自身歌謡曲から現在までも日本の音楽は大好きです。僕が提案したいのは、国内向けは従来通りで、海外向けの商品も作っていきましょうということです。
カップヌードルひとつとっても、日本と海外のものは味も違えば容器のデザインも違いますよね?どのジャンルのものでも海外向け製品は必須であり、それがマーケティングであると考えています。
すでに日本には世界を目指しているミュージシャンは多いし、成功してる人もたくさんいるじゃない。
1人の天才による作成ではなく、質の硬い楽曲を量産できるシステムを作るために、多国籍で複数の人々で作成して、天才に引けを取らない楽曲を製作して欲しいのです。海外の大物とコラボではなく、これから売れるような、共にJ-POPを盛り上げていただけるような方々と楽曲を製作していただけたらなと熱望しています。
なぜ複数人数に拘るのか
日本は今年亡くなられた筒美京平先生のような本当に素晴らしい作曲家がたくさんいます。1人で作ってこそ一人前と思ってしまったり、複数人で作っていても代表者の名前だけにしたりしてしまっていませんか。
ナポレオンが成功して失敗した理由とも重なります。ナポレオンは戦術の天才でどんな苦境でも逆転勝利をしてきました。それゆえ部下や将校、優秀な戦略家が育たず、ナポレオンの指示待ちになってしまい、複数の戦に耐えることができませんでした。逆にトラファルガー海戦で勝利したネルソンは、「接近戦で決定的打撃を与える」以外は自由のような裁量権の高い指示を出していたことで、各将校がその戦況にあった柔軟な作戦を遂行することができました。作戦がうまく行った者を表彰することもありました。
成果を分けること、製作陣の層と質を高めること、量産できるシステムを作ることで、名を挙げやすい環境作りこそが若手ミュージシャンも育ち、結果的には独り立ちしてもいい訳ですから、ソングキャンプの実現をしていただきたいです。
海外のアーティストとどうやって関係を作ればいいのか?
それは韓国に行って、頭下げて
ソウルのソングキャンプの仲間に入れてください!!
お願いしに行くしかないでしょう。そのシステムが日本にないんだから。
反日の激しい韓国がそんなに簡単に日本人を仲間に入れてくれるのでしょうか?
イチろくブログにおんぶに抱っこですか?しょうがないですね。作戦を2つほど提案させていただきます。
①反日感情を逆に利用する
反日の理由などは各々理由があるでしょうが、普遍的なのは「日本に色々教えてきた」という伝書鳩としての自負があるのでそこを利用しましょう。例文はこんな感じです。
え、仲間に入れていただけない。そうですか。韓国さんには、漢字も教えていただいて、仏教も伝達していただいて。韓国さんに教えていただかないと日本は本当に何もできない無力な存在なんです!どうか漢字を伝達していただいたご先祖さまのような気持ちで、ソングキャンプの仲間に入れていただけないでしょうか。
まぁこれじゃ無理かな笑
②ソ・テジなど日本の音楽業界と関わりの深い人のツテを使う
これが現実的かもしれません。韓国人で日本の作曲活動を行なっている方と関わりの深い日本人を探し、ツテをたどる。地味ではありますが、日本での人脈構築になるので、いきなり韓国に言ってお願いするよりは精度が高いかもしれません。
③avexに頭を下げる
韓国人作曲家のツテを探すのなんて難しい!そういう場合は、前編でも紹介した、BoAや東方神起をSMエンターテインメント(韓国の芸能事務所)と共に育てたavexに韓国音楽業界のツテがあるかも知れません。そもそもダンスミュージックで始まった事務所なので、avex自身で日本版ソングキャンプを韓国から輸入してきて欲しいですけどね。
④SNSで募る
音楽業界事態に人脈ないし、avexなんて相手してくれないよ!という場合は、もうあなたの家をソングキャンプin JAPANにするしかないですね。僕は作曲全くできないので、作れませんが、SNSで
日本版のソングキャンプ作るので、J-POPで世界圧巻したい熱い世界の仲間募集中!
と募集かけてみましょう。これで決まるかはフォロワー数次第であるかもしれませんが、0ではないよね、うん。
ファンダムを築く
ファン自身が積極的な広報活動が行いやすくなるために、どうすればいいのかを考えましょう。
①フリー素材化
かんばって作成した動画が無断で使用されていても、
これがファンが広がる原動力になるかもしれない。。。
そう思いながら決して削除せず、たとえ醜い姿と感じたとしても黙って見届けましょう。ファンが自分の動画を作ってくださること自体がファンダムの構築に欠かせませんから。
②何かしら動画をアップし続けよう
元になる動画が少ないとファンも動画を作成しづらいので、ファンに動画をいじってっもらうために、よりたくさんの動画をアップしましょう。
③育成過程を可視化しよう
プロデューサーと話している風景であったり、ダンスのレッスンなどアイドルの裏側的な所を意図的に撮っていきましょう。なぜか愛着が湧くので。ASAYANのモーニング娘。のデビューまでが僕は面白いなと感じました。今年だとNizi Uが話題になりましたね!
④字幕はできる範囲でいい
無駄に多言語にせず、その国のファンのセンスで面白おかしく字幕をつけてもらおうと初めから海外に重きをそこまでおかなくていいと思います。人気が出た国からファンサしていけばいいのではないでしょうか。
まとめ
J-POPの世界戦略は、①音楽番組のYouTube公式アップ②ソングキャンプ制度の導入③ファンダムを意図的に作りやすい環境を作る。この3点があれば、うまくいくかも知れません。うまく行って欲しいです!そんな期待を込めて今回は以上とさせていただきます。それでは又又六!!
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